百橋明穂・田林 啓 編
A5判上製カバー装
本文264頁 口絵8頁
「神異僧」(じんいそう)とは、主に中国を中心とする東アジアの仏教文化において、常人ならざる法力でもって生前・没後に怪異・奇跡を起こし、崇敬を集めた僧侶のこと。
本書でとりわけ注目される神異僧の劉薩荷(りゅうさっか)は、中国では聖人と崇敬される一方で、日本では冥界の罪人として描かれる(『六道絵』極楽寺所蔵)など、日中でのまったく異なる性質に近年注目が集まっている。
文学、美術、伝承など様々な媒体に登場する彼ら神異僧の存在は、学際的視野のもと、仏教美術研究の新たな可能性を秘めている。
本書は、2017年に大和文華館で開催された、神異僧をめぐるシンポジウムをもとにした画期的な論文集である。